【第101回箱根駅伝】酒井監督の執念采配を振り返る
- 誇り
- 2月8日
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今回は第101回箱根駅伝での酒井監督の執念采配について振り返っていきたいと思います。
今回の箱根駅伝は今季チームを支えてきた梅崎選手や石田選手が出走できなくなるなど、チーム内で度重なるアクシデントがありました。そんな厳しいチーム状況で普通は諦めてしまうところ、「シードは絶対にとるんだ!」と酒井監督の執念采配や選手たちの頑張りで今回も何とかシード獲得することができ、20年連続シード権獲得という偉業を成し遂げました。
そんなアクシデントがあった中で酒井監督はどのような采配をして、シード権獲得に導いたのか出来事とともに振り返っていきたいと思います。

直前のアクシデントでエース梅崎主将を外す英断
梅崎主将は前回大会2区で1時間6分台と総合4位に大きく貢献し、出走すれば2年連続の2区となる今回は前回以上の走りでチームに勢いをつけ、さらには壮行会で酒井監督からエースに指名され、チームのキーマンとして期待されるところだった。
だが、12月30日に以前から気になっていたアキレス腱の痛みが発生し、無理を押して出場すれば最悪の場合、途中棄権の可能性もあるほどだった
最後の箱根で主将として、エースとして何としてでも出場したいところだったが、途中棄権は絶対に避けなければならないと「足が痛いので、走るのは難しい」と梅崎主将自ら酒井監督に伝えた。
酒井監督しても期待を寄せて2区に起用したいところだったが、梅崎主将の想いを受け止めて当日変更で主将を外す苦渋の決断を下したのだった。
急遽1~3区のオーダーを突貫工事で大幅な入れ替え
梅崎主将が直前のアクシデントで2区に起用できなくなった影響で、急遽予定していたオーダーを突貫工事で大幅な入れ替えを余儀なくされた。元々は1区に緒方選手、3区に小林選手、7区に迎選手を起用する予定だったが、突貫工事で1区に小林選手、2区に緒方選手、3区迎選手に起用する大博打を打つこととなった。
直前のアクシデントでチームに動揺はあったが、酒井監督によると急遽区間変更した選手たちは「どこでも行きます」と欠場した石田と梅崎の気持ちを全員で受け継いでいこうという雰囲気になった。
その選手たちは期待に応え、1区の小林選手は本調子でない中集団を引っ張り続けて集団と秒差でタスキを渡し、2区の緒方選手は急遽の2区ということで区間20位と苦しんだが8分台と踏ん張り、3区の迎選手は「行くしかない」と攻めた走りで順位を3つ上げ、1年生ながらチームの流れを変える活躍を見せてくれた。
期待の1年生松井選手も「後半に不安がある」と外す決断
松井選手はトラックシーズン大活躍するも、8月のU20世界選手権後に首のヘルニアを発症して手術をしたことで出雲全日本は走ることができなかったが、箱根に向けて急ピッチで仕上げることができ、5区に起用する予定だった。
だが、梅崎主将が2区に起用できなくなった影響で往路は混戦になるという予想と故障明けで急ピッチで仕上げたことで「後半に不安がある」と外す決断を下した。
変わって起用された同じく1年生の宮崎選手はしっかり期待に応え、途中ラップが落ちる場面もありながら粘り強い走りで順位をキープし、シード圏内の往路9位でゴールした。
復路も起用予定なかった内堀選手を7区、10区の予定だった網本選手を8区に起用
エース梅崎選手が2区に起用できなくなった影響が復路にも生じた。元々7区に起用する予定だった迎選手を往路の3区に持ってきたことで、6区のリザーブかつ疲労骨折で練習が十分に詰めず元々起用予定がなかった内堀選手を7区に起用し、ラスト勝負に備えて元々10区に起用する予定だった網本選手を8区に起用した。さらには網本選手を10区に起用する予定だったということは、元々10区登録されていた薄根選手は恐らく起用する予定がなかったという見方で、急遽の大抜擢になったかと思われる。
その変わって起用された選手たちは見事に期待に応え、7区内堀選手は順位を落とす苦しい走りになったものの前と秒差で踏ん張り、8区網本選手は区間2位と今季の成長を見せつける最高の走りでシード圏内に押し上げる活躍を見せ、10区薄根選手は「ラストスパートが苦手」としながらも4校による激しいシード権争いを制して総合9位でゴールし、20年連続シード権獲得に貢献する大仕事を成し遂げてくれた。
往路4枚替え、復路2枚替えと補欠をフル投入する執念の采配
今大会「往路4枚、復路2枚」の補欠6枚をフル投入したのは東洋大学だけだった。
これはあくまでも戦略的なものではなく、前述の通りエース梅崎選手が2区に起用できなかった影響によるものだった。
酒井監督も「本来4人替えはほとんどないこと。2区のエースを当日変更したのも初めて。」と仰っており、いかに危機的な状況だったかが伺える。
そのような状況で普通であればシード権を諦めてしまうところだが、「シードは絶対にとるんだ」と悪い状況の中でもできることを最大限やってパフォーマンスをしっかり発揮できる酒井監督の采配は改めてすごいものがあると感じた。またその采配に応える選手たちも素晴らしいと感じ、「箱根の東洋は強い」と改めて感じさせる大会となった。
今大会改めて振り返ってみると、エースの梅崎選手が突発のアクシデントで走れなかったり、その影響で急遽オーダーを大幅に入れ替えたりとレース前は「正直今回はシード権難しいのでは」と思っていましたが、そんな状況でも選手全員が今持てる力を最大限発揮して何とかシードを獲得することができ、「やはり箱根の東洋は強い」というレースを見せつけてくれて本当に嬉しかったですし、これ以上ない最高すぎるレースだったと思います。特に各選手のラストの粘り強さには「絶対シードをとるんだ!」という覚悟が伝わってきました。
また酒井監督の「最悪な状況でも最善を尽くす」采配には本当に頭が下がりましたし、誇り自身の今後においても見習っていきたいなと感じました。
そんな酒井監督なら今回の反省を活かしてしっかりと改善してくれると思うので、来年の箱根では東洋の定位置である「3位以内」を目指して頑張ってほしいと思います。
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