第101回箱根駅伝を振り返って
- 誇り
- 1月15日
- 読了時間: 10分

今回は第101回箱根駅伝の東洋大学の戦いぶりについて振り返っていきたいと思います。
まずは改めて20年連続シード権獲得おめでとうございます。
往路まさかの4枚替えで、さらにエース梅崎選手も走れないという状況で正直シード落ちも覚悟していましたが、そんな不安を払拭する走りを走った選手全員が見せてくれてとても嬉しかったですし、「シードは絶対とるんだ」という気持ちが伝わってきて、結果以上に感動したレースだったかと思います。
また最終10区は4校のうち3校がシード権という展開で争いが激しく、また薄根選手はロードタイプでラストに強くないという印象だったのでずっとヒヤヒヤしながら見ていましたが、そんな不安を払拭するかのように先に仕掛けた東京国際の選手にしっかりと食らいつき、1秒をけずりだす走りで何とか総合9位入ることができ、20年連続シード権獲得の大仕事を果たしてくれました。改めてあのような状況の中シード権取れて本当に良かったですし、皆さんとともにいい1年を迎えることができそうです。
それでは各区間ごとの振り返りをトレンドポストとともに行っていきたいと思います。
1区小林選手 覚悟で集団を引っ張って後続へ勇気を与えてくれた
小林亮太(4) 1:02:52(区間11位/総合11位)
1区小林選手は右膝にテーピングをした状態でこれもまた正直すごく心配だったのですが、そんな状態の中でも2位集団でレースを引っ張った勇姿にはとても感動しましたし、ラストも集団から大きく離されることなく、後続が走りやすい位置でタスキを渡してくれました。ここ3年間彼の走りが連続シード獲得に大きく貢献といっても過言ではないくらい、チームに欠かせない存在で4年間本当に頼もしかったです。
2区緒方選手 急遽の抜擢で重圧に苦しみながらも何とか耐えてくれた
緒方澪那斗(3) 1:08:50(区間20位/総合19位)
2区は本来は梅崎選手が出走する予定でしたが、突発的なアキレス腱の痛みが出て走れる状況ではなかったため、急遽緒方選手が走ることになりました。
やはり2区は難関コースで急遽走れるほど甘くなく、終始苦しい走りで順位も19位まで落としてしまいましたが、それでも何とか耐えて差を最小限に食い止める走りをしてくれました。
また緒方選手のタイムも68分台で数年前だったら全然悪くなかったですが、今回は65~66分台が多数出るというハイレベルな戦いだったので今回は悔しい結果となりましたが、また来年リベンジしてほしいと思います。
3区迎選手 努力で勝ち取った大舞台で悪い流れを断ち切る最高な活躍を見せた
迎暖人(1) 1:02:40(区間8位/総合16位)
3区は本来は小林選手や緒方選手など実力者が起用される予定でしたが、梅崎選手の欠場の影響で急遽オーダーを入れ替えることとなり、本来復路に起用される予定だったルーキー迎選手が初の箱根でこの3区という重要区間を任されました。
2区で19位に沈んでしまい流れが悪かったので正直ルーキーにこの展開は厳しいかなと思ってましたが、そんな心配は無用でルーキーとは思えない終始落ち着いた走りで順位を19位⇒16位と3つ上げ、悪い流れを断ち切る最高な活躍を見せてくれました。
またタイムも62分台とルーキーながら素晴らしいタイムをマークし、さらに初の箱根でいきなりこの重要区間を任されて緊張で余裕がないと思いましたが、彼のルーティンなのか帽子のかぶり方がテレビに映る度に変わっていたのが印象的で、その落ち着きぶりからこれは大物になるなという予感がしました。
4区岸本選手 前回の走りはまぐれじゃないとシード圏内にワープする大活躍を見せた
岸本遼太郎(3) 1:01:15(区間3位/総合9位)
4区は前回10区区間賞の岸本選手が事前のエントリー通り出走しました。前回10区区間賞を獲得したことをきっかけに今季は大きく力をつけて安定感も増したので期待していましたが、その期待通りに順位をシード圏内の9位まで大きく押し上げ、区間3位の好走で前回の走りがまぐれじゃないという走りを見せてくれて嬉しかったです。3区迎選手が作った勢いをここでさらに加速させたことが20年連続シード権獲得に向けて非常に大きかったですし、テレビにはあまり映らなかったですがMVPをあげたいくらいの大活躍だったと思います。
5区宮崎選手 宮下先輩を彷彿とさせる走りで何とか踏ん張って明日や来年への希望をつないだ
宮崎優(1) 1:12:16(区間9位/総合9位)
5区はエントリー通り松井選手が出走する予定でしたが、梅崎選手が欠場した影響で混戦になることと松井選手はケガ明けで後半に不安あるという懸念から、確実に走ってくれる宮崎選手が出走することになりました。
緊張からなのか定点ポイントごとにタイムと順位の上下が激しくちぐはぐした走りでしたが、何とか順位を落とすことなく往路9位でゴールし、72分台前半の区間1桁と十分な活躍を見せてくれました。
Xでも少し話題になりましたが、先輩の宮下選手を彷彿とさせるような走り方をしたのが印象的で、来年はさらにタイムを上げて宮下先輩を超えるような活躍をしてほしいと思いました。
迎選手、宮崎選手と1年生が非常にいい活躍を見せてくれたので、来年以降がより楽しみになってきました。
6区西村選手 走れなかった4年生の想いを力に変え苦しくもラストで男を見せた
西村真周(3) 58:56(区間9位/総合9位)
6区は事前のエントリー通り西村選手が出走しました。実は昨年4月に参加した酒井監督のトークショーで、6区について「基本的には真周で行く」と仰っていたのでその通りの起用になりました。
まずXでも話題になりましたが、西村選手がスタートする前にテレビ越しから手袋に「石田洸介」「梅崎蓮」の文字が書いてあったのが見えて、「4年生の想いを背負って走るんだ」という気持ちが伝わってきて思わず感動して涙が出てしまいました。
その想いを背負って前半から攻めた走りで8位を走っていた立教大の選手を序盤の上りで捉えましたが、下りでは逆に再び差を広げられて苦しい走りとなってしまい、さらに後続の選手にも差を詰められて心配していましたが、「4年生に恩返しするんだ」と昨年と同様にラスト3kmの平坦で1秒をけずりだす走りを見せて一度は離された立教大にも迫ることができ、結果的に昨年と同様に何とか58分台でまとめて流れを作ることができました。
ラップタイムを見ると下りのタイムがあまり良くないので下りが苦手なのかどうなのかわかりませんが、来年は平地での活躍を見てみたいと感じました。
7区内堀選手 各校主力を並べてくる中何とか頑張って耐え抜いた
内堀勇(1) 1:04:16(区間12位/総合12位)
7区は本来事前のエントリー通り、濱中選手か3区に回った迎選手などが出走する予定でしたが、往路のオーダーを急遽入れ替えた影響で6区の控えだった内堀選手が急遽出走することになりました。
どの大学もこの7区には主力の選手を置いてきているので、序盤から順位を落とす苦しい展開となりまいたが、それでも何とか頑張って後ろから追いついてきた主力選手に食らいつき順位は12位に落としてしまったものの、前とそれほどタイム差なく後続の選手が追いやすい位置だったので、十分役割を果たす走りを見せてくれました。
苦しみながらも頑張って食らいつく姿には「絶対にシードをとるんだ」という気持ちが伝わってきたので、この経験を活かして来年は主力選手の1人に成長してほしいと思います。
8区網本選手 今季大きく成長した姿をこの大舞台で最高すぎる走りで見せた
網本佳悟(3) 1:04:18(区間2位/総合10位)
8区は本来は5区に回った宮崎選手などが出走する予定でしたが、ここもまた往路のオーダーを入れ替えた影響で10区に出走する予定だった網本選手が急遽8区に回ることになりました。
今季は5000m,10000mで自己ベストを大きく更新し、さらに全日本予選でも組トップを勝ち取るなど今季チームで最も成長を遂げた選手で、駅伝での活躍を注目していました。しかし駅伝シーズンに入ってからは中々調子が上がらず状態を心配していましたが、前半から区間新ペースで押していて、テレビで走りを見ていても非常にいい走りだったので安心して見ていられました。
特に遊行寺の坂でスパートして並走していた帝京大の選手を突き放し、前を走る日体大に追いついたシーンは本当最高すぎる走りで、今季の成長をこの最高の舞台で見られてとても感動しました。
区間賞は惜しくも獲れなかったですが、彼の大活躍で20年連続シード権に向けて大きく手繰り寄せることができて本当に良かったです。
9区吉田選手 4年生の意地で離れても食らい付いてアンカーに勇気を与えた
吉田周(4) 1:09:22(区間7位/総合8位)
9区は昨年この区間で区間2位の好走を見せた吉田選手が今回もこの区間を任されました。
今季は11月の全日本までは調子が中々上がってこなかったですが、11月後半の小江戸ハーフで昨年と同様にぶっちぎりで62分台をマークして状態は上がってきたので、ここにこの選手を置けるのはすごく大きいし復路唯一の4年生だったので頼もしいなと感じてました。
序盤は昨年と同じように快調なペースで駆け出し、一時は並走していた日体大と順大の選手を突き放しましたが、再び追いつかれて横浜駅の給水のところでかなり苦しそうな表情を見せていたので心配でしたが、きつくて集団から離れそうになっても必死でくらいついていた姿はシードへの覚悟と4年生の意地を感じ、最後はまさに1秒をけずりだすスパートで順位を2つ上げる4年生としての仕事を果たしてくれました。
表情を見ても明らかにきつそうでしたが、それでも「絶対に離れまい」と必死に食らいついていた姿には本当に胸打たれましたし、アンカーの薄根選手にも勇気を与えてくれたと思います。
10区薄根選手 プレッシャーのかかる中シードを守り抜く最高の仕事を果たした
薄根大河(2) 1:10:11(区間10位/総合9位)
10区は本来は網本選手が起用される予定でしたが、オーダーを入れ替えた影響でエントリー通りそのまま薄根選手が出走しました。
今季はこれまで出雲、全日本と一度も出走しなかったですが、関東インカレ1部ハーフで4位入賞を果たすなど大舞台で力を発揮するタイプなので、必ずやってくれると信じて見ていました。
彼も序盤ハイペースで入ったのですが、それ以上に後ろの大学がハイペースで入って追いついてきて4校による白熱したシード権争いとなりました。
4校による集団走がしばらく続いていたので、ずっとヒヤヒヤしながら「ここまで来たらもうお願い!頼む!」と祈るような気持ちで見ていました。ただ一つ懸念点として酒井監督も仰っていましたが、彼はロードタイプでラストスパートの力がないと感じていたのでスパート合戦になったらちょっとマズいなと感じてました。どこかロングスパートで行ってほしいなと思いながら、ここで仕掛けるのは中々の勇気がいることなので終盤までもつれるなと見ていました。
実際レースが動いたのは残り1kmで、東京国際の選手が仕掛けてそれに薄根選手も何とか反応してくらいついていくことができ、まさに鉄紺の真骨頂である1秒をけずりだす走りでシード圏内の9位でゴールする大仕事を果たしてくれました。
レース後彼は何度も「怖かった」と言ってましたが、すごくプレッシャーのかかるあの場面でシード圏内でゴールする最高の大仕事を成し遂げてくれて本当に良かったですし、すごく嬉しかったです。
また酒井監督も仰っていましたが、「4年生への想い」が彼の背中を押してくれたのだと思います。
薄根選手本当にありがとう!
今回の箱根はエースの梅崎選手が突発のアクシデントで走れなかったり、その影響で急遽オーダーを大幅に入れ替えたりとレース前は正直シード権は厳しいと思っていましたが、そんな状況でも選手全員が今持てる力を最大限発揮して何とかシードを獲得することができ、「やはり箱根の東洋は強い」というレースを見せつけてくれて本当に嬉しかったですし、これ以上ない最高すぎるレースだったと思います。特にラストの粘り強さには「絶対シードをとるんだ!」という覚悟が伝わってきました。
4年生はこれで卒業しますが、今回走った8名が来年残りますし、今回走れなかった選手にも力のある選手がたくさんいるので、来年は是非東洋の定位置である「3位以内」を目指してまた1年間頑張ってほしいと思います。
TUマークの誇りは今後の鉄紺選手の活躍を全力で応援しています!
Comentários